小児泌尿器科疾患

小児泌尿器科について

トイレに行く子ども泌尿器は、尿を生成する腎臓や、尿が通る尿路(尿管・膀胱・尿道)を診る診療科です。 また、男の子の精巣・陰茎や、女の子の子宮・膣といった性器に、何かしらの疾患・症状がないかも診ております。 子どもはまだ成長途中にあるため、大人とは異なる疾患を起こすこともがあります。また、大人もかかる泌尿器系の疾患が発症した場合でも、これからの成長に支障をきたさない検査や治療が必要になります。 頻尿や夜尿症(おねしょ)、性器のかゆみ・痛みなどはもちろん、「健康診断の尿検査で異常を指摘された」「おしっこにトラブルがある」「泌尿器に症状がある」などのお悩みにも対応しております。どんな些細なお悩みでも、お気軽にご相談ください。

腎臓について

検尿で異常を指摘されたらすぐにいらしてください

血液は腎臓にある「糸球体」でろ過され、尿になります。この糸球体が炎症を起こすと、血尿やたんぱく尿が出るようになります。 尿検査とは、この血尿やたんぱく尿を見つけるために行う検査です。きちんと受けることで、食欲不振や浮腫みなどの症状が現れて悪化する前に、異常を速やかに発見することができます。そのため、検査結果で異常を指摘されましたら、放置せずに当院へご相談ください。

血尿とたんぱく尿

血尿・たんぱく尿の有無はおしっこを採取するだけで調べられます。尿検査では尿中にある赤血球の数を調べるため、肉眼では確認できないほどわずかな量の血液が混じった血尿でも発見可能です。また、たんぱく尿の検査では、尿中に含まれるたんぱく質の量も調べられるため、疾患の有無はもちろん疾患の重症度を調べる上でも大事です。

腎臓以外の泌尿器トラブル

腎臓以外の部位に発症する小児泌尿器疾患は、性別によって症状や疾患がそれぞれ異なります。以下のような症状に心当たりがありましたら、速やかに受診してください。

男の子の症状

  • ペニスがかゆい、痛い
  • ペニスの先が腫れている、赤くなっている
  • ペニスの皮をむいて中を洗えない(包茎)
  • ペニスの色や大きさ、形状、においなどが気になる
  • おしっこの出る場所がおかしい
  • おしっこの色・におい、回数などが気になる
  • 陰嚢内の精巣が触れない
  • 睾丸の形、大きさなどが気になる
  • 昼間におしっこを漏らすことがある、おしっこが近い
  • 小学生になっても、おねしょが治らない

など

女の子の症状

  • 股がかゆい、痛い
  • おしっこが出にくい
  • おしっこをするとき、痛そうな様子がある
  • おしっこに血が混じっている
  • おしっこの色やにおい、回数などが気になる
  • 成長してもおねしょが治らない
  • 小学生になっても、おねしょが治らない
  • 昼間、おしっこを漏らすことがある、おしっこが近い

など

小児泌尿器科の症状と疾患

包茎

ペニスの先端が包皮でかぶっていて、亀頭が露出されていない状態です。本来、乳幼児はみんな「生理的包茎」という包茎状態なので問題ありません。成長に伴い、包皮がむけるようになります。大人になってからも普段は包茎で、包皮をむくと亀頭が露出するのは「仮性包茎」と呼ばれていますが、これも問題ありません。仮性包茎を含め、17歳前後の男性の多くは包皮がむけるようになります。 しかし、成人を迎えても包皮がむけない「真正包茎」の場合は治療が必要です。また、乳幼児期の包茎は基本的に問題ありませんが、排尿に支障をきたす場合や、炎症が何度も起きている場合、そして「嵌頓(かんとん)」という、強く締め付けられてしまっている場合は、治療を受けなければなりません。

排尿困難がある

尿が包皮内に溜まり、ふくらんでしまうと排尿困難が引き起こされます。排尿に支障をきたし続けると膀胱や腎臓にも負担がかかる恐れがあります。おしっこが出る位置、角度などがおかしい場合は、速やかに受診してください。

亀頭包皮炎を繰り返す

亀頭包皮炎とは、ペニスの先に細菌が感染してしまっている状態のことで、主な症状は排尿痛などです。包茎になると、包皮と亀頭の間に汚れが蓄積しやすいため、細菌が増殖して炎症を起こすリスクが高くなります。 1年に3回程ほど、抗生剤などを用いる治療を受けていただくことで完治できます。

嵌頓包茎を起こした

「嵌頓包茎」とは、包皮がむけた時に包皮輪が狭く、亀頭が締め付けられてしまう状態のことです。うまく戻らない場合でも無理やり戻さず、迅速に当院へ受診してください。

亀頭包皮炎

包皮と亀頭の間で細菌に感染して炎症が起きてしまう状態を「亀頭包皮炎」と呼びます。ペニスの痛みで受診された際、最も多くみられる疾患です。 主な症状は、赤みや腫れ、排尿痛や触れた時の痛みなどがあります。また、化膿するとペニスの先から黄色い膿が出ることもあるため、下着に汚れがある場合も、亀頭包皮炎が考えられます。 乳幼児は全員包茎なので亀頭包皮炎にかかりやすいのですが、成長してむけるようになり、免疫力が強くなると発症リスクは低くなります。 適切な治療を受けると完治できる疾患なので、速やかに受診しましょう。再発リスクがあるため、常にペニスを清潔になるようケアして、汚い手でいじらないよう注意してあげてください。

膀胱炎

尿道口から大腸菌などの菌が入り、膀胱粘膜に感染して炎症が起きる状態です。 膀胱炎は構造上、女の子の発症が多く、尿道や膀胱が炎症によって刺激されるため、「頻尿」が初期段階から現れやすい傾向があります。進行すると、排尿した後にしみるような痛みが起きます。膀胱炎による感染が広がると腎盂腎炎になり、高い熱が出てしまうこともあります。腎臓にまで悪影響を及ぼす前に、早めに治すことが重要です。 膀胱炎の有無は尿検査で判断できるため、お子様にとって負担をかけずに調べられます。そして抗生剤を使うことで、完治できる病気です。「おしっこが近くなった」「トイレに行くと痛がる様子を見せる」など、普段の様子と違う場合は、早めにご相談ください。 なお、服薬で症状が落ち着いたとしても、医師が良いと言うまで抗生剤の服用をやめないようにしましょう。再発・悪化すると治すのが難しくなるケースもあるため、きちんと用法・用量を守って服薬してください。

夜尿症(おねしょ)について

夜尿症は「5歳以降のおねしょ」という基準があり、5歳以上の年齢なのにおねしょが治らない場合を指します。発症のタイプは様々で、「夜間の尿量が多い多尿型」と「膀胱の容量が少ない膀胱型」「睡眠と覚醒の障害」など、患者によって異なります。夜尿症は成長と共に多くの方が落ち着いていきますが、落ち着く時期は人それぞれです。 5~6歳の約10~20%、小学校低学年の約10%、10歳児の約5~7%が夜尿症だと言われており、極稀にですが成人の夜尿症もあります。 何らかの疾患によって発症している可能性もあり、お泊りなどのイベントがあると、本人にとって深刻なコンプレックスになって精神的負担がかかることも考慮する必要があります。近年では、夜尿症の治療が進歩していて、生活指導やアラーム療法などの行動療法、薬物療法などで、高い改善効果が期待できるようになりました。 また、ご家庭で効果的なしつけ・サポートのコツも、はっきり分かるようになりました。まずは水分摂取や食事の方法、ご家庭でのコミュニケーションを見直すことも重要です。 夜尿症でお悩みがありましたら、気兼ねなくご相談ください。

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