学習障害(LD)

学習障害とは?

勉強風景学習障害(限局性学習症)とは、全般的な知的発達に遅れはないのにも関わらず、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの特定の能力を学ぶ、または行うことに著しい困難を示す様々な状態です。 英語では「Learning Disorders」または「Learning Disabilities」と呼ぶことから、よく「LD」と呼ばれています。 文部科学省における定義では、読む、書く、算数のいずれかが、小学校低学年においては1学年以上、高学年以上では2学年以上の遅れがみられたときに、学習障害の可能性があることになっています。しかし、この定義は、学力低下が起きてからやっと見つかるという問題もあります。 学習障害のお子様はこれらの問題があっても、会話能力には問題がありません。そのため、学業成績と会話能力のギャップが発生しやすく、これらのギャップが診断のきっかけになることもあります。

ディスレクシア

読み書きの障害ですが、近年では「ディスレクシア(発達性読み書き障害、dyslexia)」として扱われるようになってきました。読みの障害には「音韻障害」という、デコーディングの障害(一つ一つの音をつながりとして理解していくのが困難な障害)と、チャンキングの障害(文節・文章をまとまりとして読むことが困難な障害)があると言われています。 そのため、一文字ずつ読むことは問題ない場合でも、文字を連続して読むことに支障をきたしているケースもよくみられます。  音韻障害を見つける方法ですが「ネコ」と「カエル」、「マントヒヒ」という単語を逆から言ってもらうテストで判別します。「ネコ」を「コネ」といった場合でも「カエル」は「ルカエ」と言いやすく、「マントヒヒ」と言うのは音韻障害の方にとって極めて困難です。  読みの障害がみられる方の中には、もちろん個人差がありますが、書く障害も伴っています。書く障害があると、文章・文字を書かせてみると誤字・脱字が多かったり、字の大きさがバラバラになったりする特徴が見られます。この場合は、字を拡大して読んだり、定規をあてながら文章を読んだりするなど、様々な工夫で対処することも可能です。

算数障害

算数障害とは「数」に関係する障害で、数を数えることが苦手な特徴がある学習障害です。例えばですが、指で計算できる「3+5=8」はすぐに理解できても、「8+3=11」になると難しくなるケースが多くあります。また、何とかできた場合でも、「11-4=7」といった計算式になると、足し算と引き算の切り替えがスムーズにいかず、解けなくなります。  そろばんで視覚的に覚えさせる、数の概念を教えるためにポーカーチップを使うなどの トレーニング法もありますが、根本的に算数障害を治す方法は現在分かっていません。そのため、電卓などの補助器具を使わせるなどの対応でサポートすることが一般的です。

学習障害のサポート

勉強の時のみ困りごとが出てくるため、学校と家庭、両方のサポートが必要になります。学習障害のお子様は周りの子より勉強に時間がかかるため、自信を失いがちです。できないこと・苦手なことを厳しく注意するより、一緒にやったらできたという自信をつけさせること、褒めることが大事です。 現在、入学試験では特別措置が設けられています。例えば大学入試センター試験では、学習障害を持つ学生の場合、申請すれば試験時間を1.3倍にしてくれる特別措置が設けられています。また、一部の公立高校の受験でも、特別措置を設けている学校があります。  特に、文字を勉強する前の小学校1年生までは、発達の遅れはさほど目立ちません。しかし進学するごとに、クラスメイトの子達よりも「読み書き」が苦手なことが徐々に目立っていきます。学校の先生はもちろん、必要に応じてかかりつけ医や地域の保健センター、児童発達支援センターなどにも相談しましょう。

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